開発^3

Web開発、宇宙開発、ゲーム開発の3種類についてつらつらと

GXロケット開発中止

今日は大きな宇宙ネタが2つも。
まずは日本から。

日本初官民共同開発・GXロケット中止へ…コストなど問題

文部科学省の宇宙開発委員会は、日本が初めて官民共同で推進している中型ロケット「GX」について、開発中止を勧告する方針を固めた。

 民間側はすでに投じた500億円弱が回収不能になると反発し、自民党内には偵察衛星などの防衛関連の打ち上げ用として計画続行を強く求める声もあるが、技術面、開発費などの問題があまりに大きく、現行計画のGXは中止に追い込まれる公算が大きくなってきている。

これまでの経緯

宇宙開発なんて興味が無い人が多いわけで、歴史などなど。
おかしな点あったらツッコミよろしくお願いしますm(_ _)m


元々日本の宇宙開発はNASDA*1ISAS*2という独立した二つの組織で行われていました。
その中で作られたロケットはたくさんありますが、最新Ver.とも言える機体がこの2機。

  • NASDA側では液酸液水の二段燃焼式ロケットを持つH-IIAロケット(エイチツーエー)
  • ISAS側では世界でも例を見ない「軍事技術を元としない」固体燃料ロケット、M-Vロケット(ミューファイブ)

二つの組織があったことにより日本は独自開発された液体ロケットと固体ロケットを持つこととなったわけです。
・・・2年前までは。

元々H-IIA通信衛星や気象観測衛星など、実用衛星を打ち上げるのに特化し、最終的には海外からの衛星打ち上げ受注を目指していました。
つまり基本は地球周回軌道。それも静止軌道の需要が高いわけです。


それに対してM-Vは惑星探査など毎回目指す目標が違うもの。
その為、オーダーメイドの様に毎回衛星に合わせて(&新技術の試験等で)変更が入り、それによって費用がかさむ面がありました。
両機関の統合に伴うJAXA発足、力関係、予算の制限、「きぼう」による予算の圧迫、大人の事情などにより、
M-Vは2006年9月23日の打ち上げを持って廃止となり、今回話題になっているGXロケットの開発がスタートしたのです。

問題点

一番の問題点は小型・中型衛星を打ち上げる為の新ロケットがまだ完成していないのに、同用途のロケットを廃止し、小型・中型衛星用ロケットを日本から(一時的とはいえ)消し去ることでしょう。
小型・中型衛星向けロケットが必要といいつつ、それを無くすってどういうこっちゃねん・・・・*3


他に、国内・海外の実需を見込んでビジネスとしての展開も考えて開発するにもかかわらず、LNGエンジンという意欲的な、悪く言えば見通しが付いていない技術を選択したこと*4
M-Vの確実性のあるコストダウン策があるのにそれを考慮したのか?とかIHIもっと契約しっかりしとけよとかもありますが、長くなっちゃうのでこの辺りで。

ようやく本題。

今回の中止勧告ですが、自分としては英断だと思っています。
LNGエンジン自体は有用な技術ですし、予算が許すのならば開発を継続してもらいたい所ですが、火の車のJAXAには難しいかもしれません。

LUNAR-Aの引っ張りようを思えば、この時期に取りやめられたのは後々評価されるのではないでしょうか。


・・・あれ?本題が一番短いよ?

*1:宇宙開発事業団

*2:宇宙科学研究所

*3:これも予算の問題で、内之浦の発射場を維持する費用が出せなかったという話

*4:LNGエンジン開発予算が取れない為、新ロケットの開発費用に相乗りしないといけなかったという話もあるが真偽不明