開発^3

Web開発、宇宙開発、ゲーム開発の3種類についてつらつらと

神舟捏造疑惑を解る範囲で色々いじってみる その2

神舟捏造疑惑を解る範囲で色々いじってみる - 開発^3に続いてその2。
疑問点−検証の組み合わせで行ってみよう。

今回も参考動画は以下二つ。

加速中に腕とか普通に動かしている!捏造だ!

これもニコニコ動画中でよく言われている説。検証してみよう。
何度もお世話になる高度・速度グラフに再度登場いただく。
今回はがんばって色々数字を求めてみた。

まずはグラフの説明から。

管制室のスクリーンにも表示されていたこのグラフ。
ロケット打ち上げではおなじみに高度と速度を表すグラフになる。
上の線が高度、下の線が速度。
速度が直線でなく、こまめに変動しているのはSRB(固体ロケットブースター)補助ロケットブースター(9/30修正)の切り離しで加速が落ちたり、
燃料を消費することで加速が良くなったりする為。


さて、中国語はわからないが、動画を見る限りPart2の2:00(X+459sec)が二段エンジンの切り離しだろう。
・時間のX+459(秒)が求まる。右端の赤い線
・左端の赤い線がX+0(秒)=打ち上げ時
間の長さは321pixel。よって1秒は0.6993464…Pixelに相当する。


見落としがあるかも知れないが、映っている中で乗組員が大きく手を動かしているのは以下の3箇所。

  1. Part1の4:02周辺(X+165sec)
  2. Part1の6:14〜6:56ぐらい(X+297sec 〜 X+339sec)
  3. Part2の2:12以降(X+471sec〜)

・それぞれを上記の式を用いてグラフ上にプロットする。これが緑の縦線4本


同じような方法で速度も求める。最終的な速度は明示されていないので不明な点はあるが
第一宇宙速度(7800m/s)を用いて(8000m/s)としておく。
・緑の線との交点から速度を求める。これが左の値


ついでに手を動かしている中で一番加速がきついX+339sec時点での加速度を求めよう。
作図とかしたのでは無くなんとなく引いただけだが、黒い線がX+339sec時点での接線。
まぁ、そこまで外れては無い。よね?
・適当な長さで引いたが、これの先頭と終端の速度も書いておこう

さてようやく実際の検証

1.Part1の4:02周辺(X+165sec)

これはグラフを見れば言わずもがなだろう。
SRB補助ロケットブースター(9/30修正)の分離が終わり、加速はほぼ無い状態。概算だけしてみたがどう見ても1Gを下回っている。

X+165sec時点では2579m/s程度。ある程度加速が戻ってきているX+297secの時点で3589m/s。
7.65m/s^2といった所か。なお地上の重力加速度(=1G)は9.8m/s^2程度。
# 一部グラフに無い値を同様の手法で求めた。

地上で動かすより楽に動かせるはず。と。

2.Part1の6:14〜6:56ぐらい(X+297sec 〜 X+339sec)

一番動かすのがつらいのはここだろうか。
この範囲での平均加速度を求める。

X+297sec時点では3589m/s程度。
X+339sec時点では4449m/s程度。
(4449-3589)÷(339-297) ≒ 20.476m/s^2

また一番加速度がきつくなっているX+339sec時点の加速度を適当接線から求める。

X+253sec時点(黒線の左下)で2729m/s程度。
X+439sec時点(黒線の右上)で6467m/s程度。
(6467-2729)÷(439-253) ≒ 20.096m/s^2
# 一部グラフに無い値を同様の手法で求めた。

ぬぅ。適当接線じゃやっぱりダメか。こっちの方が加速弱くなっちゃったや。
まぁ、とは言っても上記の値を見る限りこちらも2G強といった所だろう。

3.Part2の2:12以降(X+471sec〜)

これもグラフを見ればすぐわかることだが、X+459sec以降では二段ロケットも切り離され、ほぼ加速が無い状態。
なお、この動画には映っていないが、この後手に持っていたノートをくるくると飛ばしている様子も配信されている。
動画は録画していなかったので(2chスレ辺りでは誰か持っていそうだが)静止画を二枚ほど。

結論

手を動かしているのは全く問題無いと考える。
最大で2G強の加速が掛かっている。腕を動かすのには腕一本分の重さが余分に掛かることになる。
成人男性の場合、腕全体の重さとして3〜4キロらしい。この分野は詳しくないのでネット情報だが。
服で+1キロとしても5キロ程度。持ち上げている部分は肘の少し上までだから、やはり3,4キロといった所か。


自分は滅茶苦茶非力と自負しているが、横になり、米びつ(3kg)を腕に乗せて同様の体勢を取ってみた所
さしたる苦労をすることも無く、持ち上げる事ができた。

・左手は添えるだけ
・夜中に台所の床で何やってるんだ。という意識は捨てる