開発^3

Web開発、宇宙開発、ゲーム開発の3種類についてつらつらと

神舟捏造疑惑を解る範囲で色々いじってみる その3

神舟捏造疑惑を解る範囲で色々いじってみる - 開発^3
神舟捏造疑惑を解る範囲で色々いじってみる その2 - 開発^3

に続いてその3。
今回は(主に)ニコニコで書かれている単純な誤解を取り上げてみようと思う。
いや、前回、前々回と1エントリ書くのに3時間近く掛かって疲れたのさ。


宇宙開発系に強いノンフィクションライター、松浦晋也さんが自身のblogで検証を始める旨を書いているのでそっちにも期待。
知識的な意味でも情報源的な意味でも、自分とは比べ物にならないわけで、結果が楽しみ。
松浦晋也のL/D: このっ、バカ共が!
# 本文の方には感情的な面も見受けられるが、コメント欄の2008/09/30 11:00ぐらいから検証・反駁をする旨を書いている。


さて、こっちはこっちで出来ることを。

打ち上げの2時間前に映像掲載してる。捏造だ!

これに関しては打ち上げ2時間前に掲載されたのは「記事」であり、「映像」では無い。というオチ。
「映像」が打ち上げ前に公開された事実は無い
# 「記事」を用意しておくのは日本の新聞社でも極普通にやっていること。*1


この誤解の原因はおそらく↓の2chブログ。
【神舟7号】 中国の有人宇宙飛行はねつ造か?→国営新華社が発射前に打ち上げ成功を誇らしげに伝える、宇宙遊泳の映像に泡が見つかる : アルカン速報

プロパガンダ記事が新華社のウェブサイトに掲載されたのはロケット打上げの2時間以上も前である

とあるが、映像に関しては触れていない。ただ、このタイトルでは誤解するのも仕方が無い所だろう。

打ち上げ中の飛行士が何もしていない

打ち上げは自動化されており、打ち上げ中の飛行士がする仕事なんてほとんど無い。せいぜい状況報告程度。

打ち上げ中に手を動かしている

神舟捏造疑惑を解る範囲で色々いじってみる その2 - 開発^3
結構楽だったよ

宇宙空間なのに星が写っていない

アポロ捏造論でも良く言われる誤解。
地球や船体に露出を合わせている為、星は映らないのが正しい。

画面に写っている地球の大きさが小さすぎる。低軌道ではもっと大きく写り、この映像のように大部分が見えることは無い

広角レンズを用いている為。軌道高度は外部から観測される為、高度343kmというのは嘘のつきようが無い。
ほぼ同じ高度を飛行するスペースシャトルの場合でも、広角レンズを使った映像は↓の通り
http://images.jsc.nasa.gov/lores/STS051-34-028.jpg
http://images.jsc.nasa.gov/lores/STS061-77-078.jpg
http://images.jsc.nasa.gov/lores/STS064-217-008.jpg
http://images.jsc.nasa.gov/lores/STS064-217-027.jpg

旗の動きが不自然だ

これもアポロ捏造論でよく言われる物。
だが、今回の動画での不自然さはむしろ水中であるということを否定しているように見える。

38秒〜44秒付近で殆ど力を入れていない状態で旗が大きく動き、巻きつくような動きをしている。
これは水や空気による抵抗が無く、旗が動いていた速度がそのまま保持されている証明(=真空=宇宙)では無いだろうか。

宇宙遊泳中に泡が出ている

これが捏造疑惑の火付け役なんだろう。
実際、水中はバラスト(錘)を付けることで浮力を打ち消し「無重力」に近い状況を作ることはできる。
ただし、「宇宙」「真空」に近い状況では無い。



三箇所あるが、順に見ていこう。
まずは0秒〜36秒までの間に画面右の宇宙飛行士の辺りを飛んでいる物。
散々引っ張っているが、この部分の疑惑は「何とも言えない」が正直な所。
等速運動をしておらず、泡のように加速しているという説があるが、広角レンズを用いているため、中心からの距離によって、見かけの速度は変化する(というかしない方がおかしい)


次に36秒〜58秒辺りにある、ハッチから出ているように見える物。
これは検証動画のスロー再生を見ると解りやすいだろう。
51秒〜54秒にかけて横になった状態から反時計回りに半回転している様子が見える。
素材は解らないがある程度の剛性を持った平らな物体に見え、形状からすると泡とするに無理があるように思う。


三箇所目は1分04秒〜ラストの部分。ハッチから大きめの物体が飛び出ている。
この部分には関しても捏造だと言っている人も泡とは思っていないだろう。
拡大、スロー再生している部分を見る限り
宇宙遊泳中に水の泡? 飛行士「メモ紙片だ」―神舟7号

記者が「ハッチから出る時などに、紙片が漂ったが」と尋ねると、劉飛行士は「その時はハッチを開けるのに集中していて気づかなかったが、メモとして使った紙だろう」と答えた。

とあるように紙として良いと思う。

*1:結果が出る前に「4年越しのリベンジ!ついに金メダルを奪取!」と「またも一歩及ばず。今大会も銀メダルに終わる」を作っておくとか